みなさんこんばんは。
この記事を書いている現在、2016年11月12日午前2時。
明日は土曜にも関わらず朝から仕事だというのに深夜にブログを書いております。
なぜなら!
この本が面白かったからだ!
『蘇る変態』とは
この本は、2011年から2013年まで、女性向けファッション誌「GINZA」に連載していた「銀座鉄道の夜」というエッセイに加筆、修正、新たに書き下ろしを加えてまとめたものです。
星野源『蘇る変態』より
発売は2014年5月。
僕が購入したのも2014年5月。読んだのは今日。つまり約2年半もの間ほったらかしておりました。
寝る前に笑おうと思い、予約しておいたNHKのコント番組『LIFE!~人生に捧げるコント』を見ていたら星野源が出演しており(レギュラーなのだ)、その顔を見てふと思い出したこの本を手に取ると、面白くて最後まで読んでしまったのです。
下ネタから貴重な作曲エピソードまで満載
前半はファッション誌に連載していたエッセイ。短く読みやすい文章(5ページ分くらい)が続きます。
ブログに書くと規制されそうなタイトルから始まります。笑えます。
もちろん真面目な作曲エピソードもあるよ!
特に85ぺージの「夢の外へ」は曲作りのプロセスを下ネタを交えつつ赤裸々に語ってくれています。
昔から勉強が嫌いなので、専門学校で教わるような音楽理論はまったくわからない。だから今でも音譜が読めないし書けない。
星野源『蘇る変態』より
マジか。今でもどうかはわかりませんが、それでも「夢の外へ」を生みだしてくれてどうもありがとうございます。
楽曲のアレンジは、それを譜面に起こす事ができないので、曲のコード譜を持ってスタジオに入り、プレイヤー(演奏者)たちに音を出してもらいながら、その場でアレンジをしていく。(中略)口立てでアレンジしていても、細かく指定しすぎれば一気に音は固くなってしまう。そこで、音楽用語以外の言葉を使って想像力で演奏してもらうと、演奏が豊かになる。
「そこのドラム、日本シリーズで2連勝した時の原監督の気持ちで」
「ここのベースは、嵐だったら相葉君で」等。
星野源『蘇る変態』より
い、意味不明だ・・・。逆に意味不明すぎて、プレイヤーなりに想像して演奏してくれるから音に自主性と生命力が宿るそうです。
104ページからの「頑張れ」には星野源の音楽家としてのこだわり、志が垣間見えます。
俺は日本人として、昭和の歌謡曲に始まり、70年代後半にニューミュージックが生まれ燦然と輝き、それらの音楽を元に、80年代から90年代にかけて数々の音楽家が作り上げた、他の国のどれにも似ていないJ-POPという我が国のポップスにとても誇りを持っている
星野源『蘇る変態』より
かっこいいです。男として、音楽家として。
楽しい地獄
そんな楽しい日々は突如として終わりを迎え、地獄の日々が始まります。
126ぺージの「生きる」では、くも膜下出血で倒れた時の様子が克明に描かれ、以降は病室での苦しく辛い日々が記されています。
「星野さん!脳、出血してます!」
担架で運ばれながら、ああ、俺死ぬのかな、という気持ちと共に、やっと女医さんがデレてくれた、とホッとしたのを覚えている。
星野源『蘇る変態』より
女医さんのツンデレエピソードは、是非本編をご覧ください。(笑)
担当のA先生は「絶対に助かります」と目を見て言ってくれた。それを聞いて、素直に「そうなんだ」と思った。俺以外の人には、後遺症の可能性も含め、全快の可能性は低いと言っていたことは後日知る。とても素晴らしい医師だった。
星野源『蘇る変態』より
そ、そんな重体だったとは知りませんでした。手術中の様子も、その痛みも、文章を通して伝わってきます。
てか文章うまいな星野源。
今すぐにでもベッドの頭上にある窓から飛び降りたい。早く死んでしまいたい。こんな拷問のような痛みはもうたくさんだ。
星野源『蘇る変態』より
地獄の日々と、底力
そして最後には書き下ろしの「楽しい地獄だより」。40ページ以上に渡り、闘病生活、再発、また闘病生活といった具合に正に地獄の日々を送るわけ・・・
ではない!
ただの地獄じゃないんです。
「楽しい地獄だより」という名の通り、この苦境を星野源は楽しんでいます。というか楽しい人たちとの楽しいエピソード満載。
たとえば再発後の手術を担当するK先生との初めての出会い。
診察室に入ると、歳は60代後半ほどの男性がじっとパソコンモニターに映し出されたカルテルを見ていた。K先生だ。看護士さんに椅子に座るように促され着席すると、先生は勢いのある口調で言った。
「手術やりたくないです」
「ええええ!」
星野源『蘇る変態』より
超笑いました。
以降の記述を読むと、K先生のファンになってしまいます。かっこいいんです。そして感動します。
無事に手術を終え、闘病生活を送る星野源のもとに訪れる、美人看護士Bさんとのエピソードもめっちゃ笑えます。
この絶体絶命のピンチ、というか死と隣り合わせ(窓から飛び降りたくなるくらい)の状況下でも決して諦めず前向きに生き、むしろ面白エピソードをひねり出すその姿に、彼の底力と彼の音楽に流れる底抜けの明るさを感じるのでした。
おわりに
ちょっと重たい内容が多くなったので、恋ダンスでも見て癒されるとしよう!!
星野 源 - 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】
本書は(いい意味で)くだらない話満載です。あとがきに書かれているように適当に読んでいいと思います。
瀕死の状況を乗り越えた経験とそのメンタルが、今の星野源の人気の秘密なのではないかと思っています。
彼の音楽は生命力に満ち溢れてますね!
ということで、2日連続で星野源の記事でした。
以上!