頂上戦争にて戦死した、ルフィの義兄であるポートガス・D・エース。
引き金となったバナロ島の決闘にて、エースは"黒ひげ"ことマーシャル・D・ティーチに敗北し、インペルダウンへと幽閉されました。
当時の黒ひげは「ヤミヤミの実」を口にした闇人間であり、「能力者の実体を引き寄せる」という特異な能力にエースも驚きを隠せませんでした。
とはいえ、エースも決して負けてはいません。
ヤミヤミの力に「体の炎化」を封じられましたが、これは黒ひげがエースの体を掴んでいる間だけのものであり、決してメラメラの能力が使えなくなったわけではありません。
炎になれなくても、エース自身の身体能力もまた凄まじいのです。
しかし最終的に、エースは黒ひげに敗北を喫しました。
エースvs.ティーチが描かれたのは45~46巻ですが、エースが大好きだった僕(当時16歳)は本当にめちゃくちゃ悔しかった記憶があります。
悪魔の実の能力、そして身体能力でも引けを取らなかったエースが、なぜ負けてしまったのでしょうか。
当時から12年の時を経て『ONEPIECE novel A』を読んだ結果、ようやく理由がわかった気がします。
そこには能力だけではない、エースならではの事情があったようにしか思えないのです。
エースと黒ひげの関係
ONEPIECE本編では、エースと黒ひげの関係はあまり詳しく描かれていません。
わかるのは「黒ひげが4番隊隊長サッチを殺した」、そして「黒ひげは2番隊隊員だったためエースが責任を持って後を追っている」ということくらいですね。
しかし小説である「ONEPIECE novel A」2巻では、エースと黒ひげの関係性が新たに描かれています。
なんと、黒ひげはエースのお世話係だったのです。
白ひげに敗北したエースは、納得のいかないままスペード海賊団ごと白ひげ海賊団の世話になることとなります。
白ひげの傘下に下らず「恩を返すために働く」という選択をしたエースに対し、白ひげはこう言いました。
とはいうものの…おめェ(サッチ)には、うちの台所を預けてるからな。
ほかに世話係をつける…おう、ティーチの野郎がいいな。
古株だし、うちのしきたりは全部わかってるだろ
引用:ONEPIECE novel A 第2巻より
ちなみに黒ひげに殺されることとなるサッチは、エースの身元預かり人に任命されます。
必然的にサッチ、ティーチ、エースでの行動が増えるわけです。
エースが初めて白ひげに任されて白ひげ海賊団を率いた「オリバ一家討伐」の時も、ティーチはその作戦に同行しています。
そしてエースがスペード海賊団を解団し正式に白ひげと親子盃を酌み交わす際も、取持人にサッチ、立会人にマルコ、そして見届人にティーチが任命されました。
つまりエースと黒ひげ、サッチは切っても切れぬ縁で繋がっていたんですね。
エースが黒ひげ敗北した理由
本題に戻りましょう。
エースが黒ひげに敗北した理由。
それは能力的な理由ではなく、白ひげ海賊団として世話になったティーチに複雑な思いがあったからではないでしょうか。
本編で描かれたバナロ島の決闘では、もちろんそんなシーンは一切描かれていません。
「生まれてきた意味」を与えてくれた白ひげ。
そしてその名前を汚したティーチ。
激昂してもおかしくないほどの憎しみを抱えていたはずのエースですが、冷静に対応・会話している様子が伺えます。
戦闘シーンの描写は最初と最後だけなので、戦いの中でエースが何を想ったかまでは語られていません。
しかしきっとティーチとの戦闘の中で、サッチやティーチと過ごした日常や戦闘、そして白ひげの姿が目に浮かんだはずです。
「なぜティーチが裏切ることを見抜けなかったのか?」
そう自分を責める気持ちもあったはずです。
一方で黒ひげは元々ヤミヤミの実を手に入れるため白ひげの船に乗り込んでおり、お構いなしにエースを攻撃してきます。
気持ちに迷いのあるエースと、迷いのない黒ひげ。
悪魔の実の能力や戦闘力は拮抗していますが、勝負の結果は最初から決まっていたのかもしれませんね。
おわりに
人より痛みを引き寄せる黒ひげですから、エースの攻撃は確実に効いていたはず。
それでも倒れなかったタフネスには驚きますね。
ONEPIECE novel Aでは、黒ひげの戦闘描写も描かれています。
もちろん、白ひげと出会うまでのエースについても明かされていますよ。
メラメラの実との出会いやスペード海賊団結成のきっかけ、七武海勧誘の話などなど。
エースファンなら買って損はないので、ぜひ読んでみてください!
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