FIFAワールドカップロシア大会のフジテレビ系テーマソングとして、RADWIMPSが書き下ろした『カタルシスト』。
単純な応援ソングかと思いきや、相反する内容の歌詞が盛り込まれた不思議な曲に仕上がってます。
というわけで今回は『カタルシスト』の歌詞考察だけにとどまらず、曲の構成についても考察してみたいと思います。
相反する歌詞と曲調
『カタルシスト』の一番の特徴は「サビとその他で歌詞の内容と曲の印象が全く異なる」という点です。
正反対の曲と言っても差し支えない、そのくらい相反しています。
例えばAメロでは、こう歌っています。
勝つか負けるとかじゃないとか
勝ちよりも価値のあるマッチだとか
言いたいこたぁわからねぇでもねぇがオイ
勝たなきゃ始まらにゃなこともあるワケであるのだからさ
つまることろ要するに
今は御託並べずにがむしゃらに勝ちに行く時
引用:RADWIMPS『カタルシスト』より
要するに「ゴタゴタ言ってねぇで勝ちにいけよ」ってことですね。
勝ちにいかなきゃ意味ないと。
しかしうってかわってサビでは、こう歌っています。
誰かを負かしたいわけじゃない
ただ自らの高みへ
昇りたい 出逢いたい まだ見ぬ自分の姿に
引用:RADWIMPS『カタルシスト』より
さっきまで「勝ちにいかなきゃいけない」と言っておいて、サビでは「誰かを負かしたいわけじゃない」と。
曲調も、煽るようなラップ調のAメロに対して、清々しく壮大な風を感じるようなサビといった具合に正反対な構成になってます。
なぜこんな構成にしたのでしょうか?
なぜ正反対の構成にしたのか?
それは、この『カタルシスト』がただのワールドカップ応援テーマなのではなく、スポーツの不思議な魅力を歌っているからだと思います。
公式サイトでの紹介文にも、こう記してあります。
勝敗を競うためだけでなく、生きる喜びや他者との共鳴、夢、祈り、全てを包み込む「スポーツ」というテーマを表現したRADWIMPSの新曲にご注目ください。
引用:RADWIMPS.jp - NEWSより
仰る通りで、スポーツは「勝つことだけに意味がある」わけじゃないですよね。
この曲も「勝ちに行け」とは言っていますが、「勝たないと意味がない」とは言ってません。
プレーヤーとしては、結果が「敗北」だったとしても「自分に勝てたかどうか」が重要なはずです。
だって死ぬまで何度でも戦う場面は訪れるんですから。
そして観客としても、たとえ負けても自然と涙が出てくるような試合はあるわけです。
そう考えると、スポーツというのは神秘的な魅力をもったものだと思います。
そしてその魅力を余すことなくひとつの「曲」として仕上げた、RADWIMPSのセンスに脱帽ですね。
おわりに
スポーツだけにとどまらず、全ての勝負事のテーマソングにもなりえるような素敵な曲です。
言葉で表しづらい「スポーツの魅力」をうまく切り取って、音楽として表現しています。
恋愛ソングじゃないですが、これぞRADWIMPS!と言える名曲だと思います。
スポーツの深い魅力を感じながら、ぜひ聴いてみてください。
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