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星野源『POP VIRUS』のタイトルフォント使い分けの理由。「POP」は明朝体なのに「VIRUS」がゴシック体なのは何故なのか?

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星野源の最新アルバムである『POP VIRUS』をふと見ていると、あることに気づきました。

あれ…?「POP」と「VIRUS」でフォント違うくないか…?

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そう、よくよく見てみると「POP」が明朝体(風)で「VIRUS」がゴシック体(風)なんです。

※アルファベットなので正確には違うフォント名だと思います。詳しい人情報求む!

なんでわざわざ字体を分けたんでしょうか?

今回はこのフォントの謎を考察したいと思います。

 

 

「POP」と「VIRUS」のフォントが違う

改めて、ジャケットだけでなくアルバムの中身も確認してみました。

CD表面

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歌詞カード表面

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歌詞カード中身

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やっぱりどこを見ても「POP」と「VIRUS」でフォントを分けています。

となると、これは偶然ではない。

確実に何か理由があるはずです。

 

『POP VIRUS』に込められた思い

この謎を解き明かすには、『POP VIRUS』という作品に込められた星野源の思いがカギを握るはず。

歌詞カードのライナーノーツには、こう書かれています。

いつも、頭の中にある風景や事象をそのまま音楽にしたいと考えていました。脳の中に確実にあるのに鍵がかかっていて取り出すことができない風景を、そのまま音として外に出せたときほど気持ちのよいことはありません。

(中略)

前回のアルバム『YELLOW DANCER』では、特に「風景を音に」という気持ちが高まっていました。自分の意見も、メッセージもなるべくいらない音楽。

(中略)

それと同時に、吐き気を催すクソみたいな現実を知ることもできました。「だめだこりゃ」とうずくまっていると、頭ではなく、胸の中にいつの間にか、それまでなかった鍵付きのスペースが増えていることに気づきました。

(中略)

頭と胸の両方の鍵を開けていくつもの歌が生まれました。「風景を音に」をベースに「感覚を音に」という気持ちが加わり、僕が思う今のPOPSを詰め込んだのがこのアルバムです。

引用:星野源『POP VIRUS』LINER NOTESより

最近の彼は『SUN』や『恋』に代表される明るくて踊れるダンスナンバーが代表曲で、「星野源といえば明るいPOPS」というイメージが強かったですよね。

そしてライナーノーツに書かれているように「風景を音に」したような、言ってしまえば「主観性のない」曲ばかりでした。

『恋』なんて曲を作ろうものなら、僕だったら「自分の過去の恋愛」とか「理想の恋愛」みたいな主観性バリバリの曲を作ってしまいそうなものです。

しかし改めて歌詞に注目しながら「恋」を聞くと、そういった個人の想いを連想させるような単語は一切使われていないことに気づきます。

よく言うと「普遍的」で「客観的」な、悪く言うと「当たり障りのない」歌詞です。

しかし今作の『POP VIRUS』、もっと言えば『アイデア』をきっかけに星野源は自分の想いや感覚を歌詞として書き上げています。

 

人間の二面性、世の中の二面性

表の自分と、裏の自分。

陽の自分と、陰の自分。

光の自分と、闇の自分。

人は誰しも二面性を持っているでしょうし、星野源だって例外ではありません。

音楽家だって、俳優だって、作家だって僕らと何ら変わりのない人間なのです。

『POP VIRUS』は、そういった人や世の中の二面性を表現した作品でもあると思います。

前作までは「頭の中の風景」を音楽にしており、今作はこれに加えて「胸の中の思い」を音楽にしている。

では、この視点から「POP」と「VIRUS」フォントの使い分けについて考えてみましょう。

 

 

言葉のイメージから伝わるもの、字体のイメージから伝わるもの

  • 明朝体…細い、格式高い、怖い、畏敬、マイナス
  • ゴシック体…太い、しっかりしている、おもしろい、プラス

作品のテーマである「二面性」に着目して2つのフォントを分類するなら、「明朝体は陰(マイナス)」であり、「ゴシック体は陽(プラス)」というのが私の感覚です。

あくまでこの2つのフォントを比較した場合の話ですが…。

では、「POP」と「VIRUS」という言葉を聞いたときのイメージについてはどうでしょうか。

  • POP…楽しい、明るい、プラス
  • VIRUS…ウイルス、怖い、悪い、マイナス

これも私の感覚ですが、 「POPは陽(プラス)」で「VIRUSは陰(マイナス)」の言葉だと感じます。

 

「POP」には陰を、「VIRUS」には陽を

改めてタイトルを確認してみましょう。

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「POP」には明朝体を使用しており、「VIRUS」にはゴシック体を使用していますね。

つまり、

  • プラスに感じる「POP」をマイナス字体で表現
  • マイナスに感じる「VIRUS」をプラス字体で表現

 しています。

反対のイメージを持つ要素どうしを、あえてぶつけているわけです。

 

フォントで『POP VIRUS』のテーマである「二面性」を表現している

なぜ、わざわざ真逆のイメージをもつ言葉とフォントを選んだのか?

それはきっと『POP VIRUS』という作品のテーマである「二面性」を表現したかったからだと思います。

このアルバムは、星野源の考える「今のPOPS」を音楽にした作品です。

星野源が前作以降考えていたのは、ライナーノーツにあったように「楽しくて素敵で最高な世の中だけど、クソな部分もたくさんあるなぁ」ということでしょう。

タイトルのフォントで、この気持ちを表現していたんですね。

 

 

おわりに

タイトルフォントにもこだわった『POP VIRUS』。

星野源のこだわりや、この作品に詰め込んだ思いが伝わってきますね。

まだ聞いたことのない方は、ぜひ聞いてみてください。

最高のアルバムであることは間違いありません。

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